伝統と革新、そして人の手がつむぐ美しさ

MUSUBISMの風呂敷は、大量生産から始まるのではありません。一枚一枚が、ひとつの「想い」から生まれます。
そして、その想いを、実際に形にしてくれるのが、職人たちの「手」です。そのものづくりのプロセスは、江戸時代の浮世絵の制作工程にヒントを得ています。色ごとに版を彫り、重ね、丁寧に刷っていく複雑で美しい伝統の技法。MUSUBISMもまた、現代の感性と伝統技術を結び、デザインから布へと物語を紡いでいます。

企画者(ヴィジョナリー)—— 浮世絵の「版元」のように

私は、MUSUBISMの創設者・デザイナーである青木未代子です。すべての風呂敷の構想、デザイン、制作、ストーリーテリングまでを手がけています。いわば「版元」のような存在として、人、自然、季節を結ぶデザインを通して、日本の感性を世界へ届けたいと考えています。

アーティストたち —— 色彩で物語を描く人々

MUSUBISMでは、世界各地のデザイナーと協力し、私の想いと彼らのスタイルを掛け合わせ、風呂敷に命を吹き込んでいます。日本の文化に深く共感する海外のデザイナーたちとともにMUSUBISMの鼓動は、国境を越えて広がっています。

  • ニコス・ストラタキス

    ギリシャ、ロンドン拠点

    ニコス・ストラタキスは、ロンドンを拠点に活躍するマルチディシプリナリーデザイナーです。
    ブランドデザインとタイポグラフィに精通し、ギリシャの島々に差し込む柔らかな光、自然の質感、そして建築美からインスピレーションを受けた、詩的でミニマルな表現を得意としています。MUSUBISMのロゴを手がけたニコスは、静かな佇まいの中に洗練されたバランス感覚と、時を超えるシンプルさを宿すデザインを創り出しました。
    その丁寧で思慮深いアプローチが、MUSUBISMの「伝統と現代性の調和」というブランドビジョンを、目に見えるかたちで体現しています。

  • サビーナ・アルカラス

    スペイン

    サビーナ・アルカラスは、明るい色彩、有機的なフォルム、そして自然の美しさに魅了された、スペイン出身のパターンデザイナー兼イラストレーターです。
    自然界からインスピレーションを受けた彼女の作品は、生命力とエネルギー、そしてしなやかな動きにあふれています。コントラストや質感、動きのある構成を自在に操りながら、感情と創造性をデザインに込めることを得意としています。
    デジタルと手描き、両方の手法を探求しながら、物語性と個性を宿すプリントを生み出しています。MUSUBISMとのコラボレーションでは、彼女の表現豊かで華やかな感性が、風呂敷に新たな息吹をもたらしています。


  • サブリナ・バルブエナ

    スペイン

    サブリナ・バルブエナは、ファッションやテキスタイル業界で10年以上の経験を持つプリントデザイナー兼イラストレーターです。
    現在は自身のオンラインスタジオを運営し、さまざまなアーティストと協力しながら、個性あふれるプリントを国内外のブランドに提供しています。創造性への情熱だけでなく、若手テキスタイルデザイナーの育成にも力を注いでおり、彼女の指導のもとで多くのクリエイターが自分らしい道を切り開いています。MUSUBISMでは、私たちの手描きのアイデアを繊細かつ美しいデジタルアートに仕上げ、風呂敷のデザインに命を吹き込んでくれています。

職人たち —— 技が息づく場所

かつての浮世絵における「彫師」や「摺師」のように、
MUSUBISMの職人たちも、それぞれの役割を通じて、
デザインを「カタチある美しさ」へと変えてくれます。

型彫り —— 現代の布に描かれる輪郭

前田製版
神奈川県、横浜市


一線一線を忠実に再現する精巧なシルクスクリーンを作ることで、デザインの命を守る職人です。

手捺染 —— 代々受け継がれる手仕事の伝統

福田捺染
神奈川県、綾瀬市


福田捺染は、親子二代にわたって40年以上、手捺染の技を守り続けてきた工房です。現在は兄弟で工房を担い、幼いころから父の背中を見て育ち、職人としての静かな矜持や、確かな手の動き、仕事への誠実さを自然と身につけてきました。今も変わらず、日々の仕事に真摯に向き合いながら、消えつつある伝統を守り続けています。

関東でこの技法を継承しているのは、もはやこの工房だけ。風呂敷は、一色ずつ丁寧に、人の手で染め上げられています。その微妙な調整は、機械ではなく、職人の勘と経験が導くもの。

MUSUBISMの風呂敷にだけ宿る温もりと奥行きある風合いは、まさにその手しごとから生まれたものです。

縫製 —— 物語の最後の一針

トレンディ
東京都、江戸川区


これらの職人たちは、風呂敷の裁断・縫製・アイロン仕上げまでを丁寧に手がけ、一枚一枚を、心を込めて「カタチ」に仕上げてくれています。

私たちは、このやさしくも欠かせない工程に敬意を込めて、彼らを「綴り師(つづりし)」と呼んでいます。

まるで本の最終ページを綴じるように——彼らの仕事が、風呂敷という物語の「結び」を美しく完成させてくれるのです。

職人の心が宿るふろしき

私たちの職人たちは、決して急ぎません。
布の声に耳を澄まし、一つひとつの工程を丁寧に、心を込めて進めていきます。その多くが、40年以上この道を歩んできた熟練の手。

「昨日より、今日、もっと良いものを」——その静かな決意とともに、毎朝仕事に向き合っています。

それは、単なる技術ではありません。
魂であり、在り方であり、受け継がれてきたものなのです。

想いとともに、手から手へ

MUSUBISMの風呂敷は、機械で大量に刷られたものではありません。一つひとつ、人の手でつくられ、心で届けられています。

その生まれ故郷は、私の地元・横浜。
120年以上前に広まった「横浜捺染」の地に、私は今、ものづくりの原点を重ねています。

この土地とつながる自分のルーツを知ったことで、この技術を次世代へつなげる覚悟が、より一層強くなりました。

手から手へ — あなたのもとへ

私たちのふろしき一枚一枚には、デザインだけでなく、それを支える人々の想いが宿っています。

MUSUBISMのふろしきは、ただ包むだけのものではありません。それは、伝統に育まれ、時を超えて受け継がれてきた「生きた物語」の一部になるということなのです。