dandelion furoshiki

たんぽぽに込められた風呂敷のものがたり

こんにちは。今日は、新作風呂敷に込めた思いをお伝えさせていただきます。

私は亡くなった母の影響で幼い頃から花が大好きで、花はいつも私に強さと美しさを教えてくれました。四季折々の自然が豊かに広がる日本では、たとえ小さな花でもその存在感は特別です。どこに咲いてもその場を彩る花々、特に雑草のようにアスファルトを突き破って力強く咲く花には心を打たれます。世阿弥の『風姿花伝』にも、花が象徴的に語られています。彼が表現したのは、芸の道における「花」の美しさと儚さ。蕾から咲き、満開を迎え、そして散りゆくまでの過程が、まるで女性の一生のように美しく映るという日本独特の美意識を持っていたのです。この「花の精神」に感銘を受けた私は、風呂敷にもこの美しさを表現したいと考えました。

今回のデザインテーマである蒲公英(たんぽぽ)は、私にとって特別な花です。日本古来の種もあれば、外来種もあり、どちらも風に乗って種を飛ばし、どんな土地でもしっかりと根を張ります。その姿は、まるで困難を乗り越え、どこでも自分らしく生きる女性たちの姿を象徴しているかのようです。たんぽぽは春の訪れを感じさせ、道端やアスファルトの隙間で咲くその強さは、多くの人に勇気を与えます。

デザインの制作過程では、私が描いたラフスケッチをサブリナさんがデジタル化し、風呂敷としての構成や配置を練り上げるのに半年近くかかりました。サブリナさんは10年以上の経験を持つプリントデザイナーで、彼女の技術と創造力のおかげで、この風呂敷は形になりました。デジタル技術の力を借りつつも、風呂敷が完成するまでには人の手の温もりが欠かせません。デジタルの効率と正確さがある一方で、そこには人間の感覚や心が必要です。風呂敷を一枚仕上げるには、その布に込められた物語や、職人たちの手仕事が重要な役割を果たします。

データを入稿し機械でプリントされるだけではなく、そこに関わる多くの人々の情熱や努力そして願いが込められている風呂敷。
それこそが、私たちが届けたい「人の手の温かさ」を感じる作品です。

サブリナ・バルブエナさんのご紹介
サブリナ・バルブエナさんは、ファッションやテキスタイルの分野で10年以上の経験を持つプリントデザイナー兼イラストレーターです。彼女は自らのオンラインプリントスタジオを運営し、他のアーティストと協力して、ブランドが競合の中で輝くためのデザインを提供しています。さらに、プリントデザインへの愛と情熱を生かし、テキスタイルデザイナーたちが自身の情熱をビジネスに変えるためのメンタープログラムも実施しています。
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